僕は普段、デジタルカメラだけでなく、フィルムカメラ(銀塩)でもたくさん写真をとります。
そんな僕のところにカメラ初心者の方々から、
「フィルムカメラって難しそう…」
「フィルムカメラの使い方がわからない」
という声がよく寄せられます。そこで今回はフィルムカメラ初心者の方に向けてフィルムカメラの入門記事を書いてみました。
フィルムカメラは決して難しくはありません。使い方さえマスターしたらフィルムカメラのノスタルジックな写真を楽しむことができます。ぜひ、挑戦してみましょう!
フィルムカメラ再ブーム到来
最近、フィルムカメラの再ブームが到来しているというふうによく聞きます。かくゆう筆者も、フィルムカメラにどハマり中です。現代の若者はデジタルカメラが当たり前ですよね。デジタルカメラになってからとても扱いが簡単になり、カメラ自体のコストも落ちて、「シャッタースピード」「絞り」「ISO(感度)」など、カメラのことを勉強しなくともある程度キレイに撮ることができるようになりました。
しかし逆に言ってしまうと、誰が撮っても同じように撮れてしまうし、誰にでもできることに魅力や価値はあまりありません。簡単に誰にでも綺麗な写真を撮れることに魅力と価値がなくなった今、簡単に撮ることのできないフィルムカメラに価値が見出されてきたのではないでしょうか。
ここでフィルムカメラで撮影した写真を2枚紹介したいと思います。
どうでしょうか?デジタルに比べたら決して綺麗ではありません。ですがフィルムカメラは不器用ながらも暖かさや懐かしさなど、デジタルでは感じられない”味”があります。僕はその魅力をもっと世の中の人に知ってほしいと思い、この記事を書こうと決めました(笑)
フィルムカメラの種類
ではまずはフィルムカメラの種類から説明していきたいと思います。フィルムカメラには大きく分けて3つの種類が存在します。
- 35mmフィルムカメラ
- 中判カメラ
- 大判カメラ
この3種類の中でだいたい一般的に市場にでまわっているのが35mmフィルムカメラです。35mmよりも大きな中判カメラ、大判カメラはプロカメラマン向けになるので初心者の方には35mmフィルムカメラをおすすめします。
フィルムの種類
フィルムカメラで写真を撮るには、カメラと別にフィルムを買わなければなりません。フィルムにも様々な種類があります。今回は35mm用フィルムの種類を簡単に説明していきたいと思います。
35mmフィルムには27枚撮り、36枚撮りの物があります。さらにそれぞれにISO100、ISO400、ISO1600などの種類があります。ISOとは感度のことです。感度が低ければ低いほどノイズが少なく綺麗に撮れます。しかし動きのある被写体に弱かったり、暗いところには向かなかったりします。感度が高ければ高いほど暗いところでの撮影にも強くなりますが、「ノイズの多い写真になってしまう」などのデメリットもあります。今回は一般的に多く出回っているものを種類別に説明します。
ISO100のフィルム
ISO100のフィルムはよく晴れた日に、野外で景色なんかを撮るのに向きます。逆に暗い場所や室内での撮影は向きません。
ISO400のフィルム
ISO400のフィルムはポートレートなどを含めの様々なシーンに向いています。曇りでも晴れの時でも使えるので一番スタンダードなISO(感度)だと思います。万能タイプのフィルムです。
ISO1600のフィルム
引用:http://cafe.toylab.jp/column/amaki15/6639/
ISO1600のフィルムは夜景や室内などの暗い場所や動きのある被写体の撮影に向いています。暗い場所でも手ブレなく、撮れますが、その分ノイズが粗くなってしまいます。
おすすめのフィルムカメラ
フォルムカメラとフィルムの種類を説明したところで、次はオススメのフィルムカメラを幾つか厳選して紹介したいと思います。
1写ルンです
引用:http://image.biccamera.com/
まず一番簡単にフィルム写真を撮れるのが写ルンですではないでしょうか。一眼レフカメラを買うとなると中古でも数千円から数万円くらいしますが、写ルンですはカメラとフィルムを別に用意する必要もなく、1,000円以下で買えるので、フィルムカメラがどんなものかを体験するにはちょうどいいかと思います。大手家電量販店や場所によってはまだコンビニにも置いてあるところがあるそうです。
写ルンです シンプルエース27枚撮りのスペック
フィルム | ISO400 135フィルム |
撮影枚数 | 27枚 |
レンズ | f=32mm F=10 プラスチックレンズ1枚 |
シャッタースピード | 1/140秒 |
撮影距離範囲 | 1m~無限遠 |
ファインダー | 逆ガリレオ式プラスチックファインダー |
フラッシュ | 内蔵(有効撮影距離:1m~3m) パイロットランプ付スライド式フラッシュスイッチ |
電池 | 単4形 1.5Vアルカリマンガン乾電池内蔵 |
寸法 | W 108.0×H 54.0×D 34.0mm |
重量 | 27枚撮:90g |
2Simple Use Film Camera
ロモグラフィーのとっても魅力的なフィルムカメラがあります。スペックは写ルンですとほぼ同じ。それでいて使い捨てではなく、フィルムの交換、再利用が可能なフィルムカメラです。フィルムを装填するのが若干難しいですが、フィルム交換できてずっと使用できるので、コスパも抜群です。写ルンですのような写りで、様々なフィルムを楽しみたいという方にはオススメのカメラです。
Simple Use Film Cameraのスペック
焦点距離 | 31mm |
---|---|
シャッタースピード | 1/120秒 |
絞り | f/9 |
撮影距離 | 1m 〜 無限遠 |
フラッシュ | 内蔵フラッシュ(長押しでON)、再チャージ時間約15秒 |
電池 | 1 x 単三乾電池内蔵 |
寸法 | W 115 xH 60 xD 33mm |
プラスチックレンズ独特の雰囲気がたまりませんね。
また過去記事でもSimple Use Film Cameraについて書いています。よろしければご覧ください。
3Nikon F3
続いてはNikon F3です。ニコンのフラッグシップ機Fシリーズの3台目の機種として、初めて電子制御式シャッター・絞り優先AEを搭載し、20年の長期にわたって販売されたカメラです。名機とも呼ばれていて、ニコンのFシリーズの中でも人気が高かった機種です。その理由はこのNikon F3で撮った写真を見たらわかると思います。
とてもいい感じに仕上がっていますね。フィルムらしくノスタルジックに撮れています。20年間愛されて続けたフィルムカメラだというのもよくわかります。Nikon F3のレビュー記事も過去記事で書いてますのでよろしければぜひ読んでみてください。
Nikon F3のスペック
形式 | 電子制御式35㎜一眼レフレックスフォーカルプレーンシャッターカメラ |
露出制御 | A(絞り優先オート)、マニュアル |
レンズマウント | ニコンFマウント |
ファインダー視野率 | 約100%(対実画面) |
ミラー | クイックリターン式、緩衝機構採用、ミラーアップ可能 |
露出計連動 | Ai方式(開放F値自動補正方式) |
測光範囲 | ISO100でEV1~EV18 |
露出補正目盛 | +2EV~-2EV |
シャッター | チタン幕メタルフォーカルプレーンシャッター |
寸法 | 約148.5×96.5×65.5㎜(ポディのみ) |
重量 | 約715g(ボディのみ) |
4CONTAX T2
1990年代に一世を風靡した高級コンパクトカメラ、CONTAX T2。カール・ツァイスの高級レンズが搭載されていて、その描写力は非常に優れています。またCONTAX T2はチタンボディを採用しています。チタンは高級カメラのボディに使われる素材で、持ったときはもちろんですが、見た目も高級感溢れる素材です。コンパクトで持ち歩けるので、プロの写真家でも使用している人は多いです。最近ではフィルムカメラの再ブーム到来で、玉城ティナ、臼田あさみなどのモデル、女優などの人気芸能人も所有しています。高級感溢れる見た目から、おしゃれアイテムのひとつとしても成り立っているカメラです。
CONTAX T2のスペック
形式 | 35mmレンズシャッター式AEカメラ |
レンズ | 38mm/F2.8 4群5枚 カールツァイスT* ゾナー 沈胴式 |
撮影距離 | 0.7m~∞ 赤外線アクティブ式オートフォーカス マニュアルフォーカス切り替え可能 |
シャッター | 1秒~1/500秒(プログラムAE時) |
絞り | F2.8~F16 |
フイルム感度 | DXコード対応 ISO25~5000 |
フラッシュ | フラッシュマチックおよびガイドナンバー制御式 |
連動範囲 | 0.7m~3m(ISO100) |
フィルム巻き上げ | 自動巻上 |
ファインダー | 逆ガリレオ方式ブライトフレーム 倍率/0.6倍 視野率85% |
寸法 | 119mm×66mm×33mm |
重量 | 295g |
5Nikon F6
続いてオススメするのが、フィルムカメラの最高峰とも呼ばれているNikon F6です。このカメラは筆者の愛用カメラの一つなのですが、とにかく使い心地の良いカメラです。写真家の川島小鳥さんも使われていることで有名ですね。このカメラはAF(オートフォーカス)で撮影することもできるので(AFのあるレンズの場合)、マニュアルフォーカスに慣れていない人にも安心です。フィルムカメラの中でもかなり扱いやすい機種だと思います。では実際に撮った写真を紹介します。
高価ではありますがなんのストレスもなく撮れるので、買って損はなかったと思います。僕は中古で8万円程度で購入できました。
Nikon F6のスペック
形式 | モーター内蔵35mm一眼レフレックス |
露出制御 | P:プログラムオート(プログラムシフト可能) S:シャッター優先オート A:絞り優先オート M:マニュアル |
レンズマウント | ニコンFマウント |
ファインダー | アイレベル式ペンタプリズム使用 |
ファインダー視野率 | 約100%(対実画面) |
オートフォーカス方式 | TTL位相差検出方式、マルチCAM2000オートフォーカスモジュールにより検出 |
露出計連動 | Ai方式(開放F値自動補正方式) |
測光範囲 | 3D-RGBマルチパターン測光:EV0~20 中央部重点測光:EV0~20 スポット測光:EV2~20 (常温、ISO 100、F1.4レンズ使用時) |
露出補正目盛 | ±5段の範囲を1/3、1/2、1段ステップで補正可能 |
シャッター | 電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター(シャッターモニター機能内蔵) |
寸法 | 約157mm(幅)×119mm(高さ)×78.5mm(奥行) |
重量 | 約975g(ボディーのみ) |
Nikon F6の過去記事はこちらからご覧ください。
6RICOH GR1
RICOH GR1。僕のお気に入りのカメラです。発売当時の1996年には35mmフィルムを使用する高級コンパクトカメラの名機として名を馳せました。マグネシウムボディを採用していて、目立たず撮ることだけに集中したカメラの作りになっています。このカメラのいい部分はこのコンパクト性と高い描写力です。ポケットに入れておけるこのサイズ感はとても重宝していて、持ち歩きには最適です。それでいてとても高い描写力で撮れます。
過去にこのGR1の購入レビューも書いていますのでぜひご覧ください。
RICOH GR1のスペック
形式 | 35mmレンズシャッター式AEカメラ |
レンズ | GR LENS f=28mm 1:2.8 |
撮影距離 | 0.35m~∞ |
シャッター | 電子制御レンズシャッター 1/500~2秒・T 自動可変 |
絞り | F2.8~F22 |
フイルム感度 | ISO25~3200 DX方式自動セット DX以外はISO100 |
フラッシュ | GN7 フラッシュマチック式 充電時間約5秒(常温・新品電池使用) 低輝度自動発光 近接ソフト発光 |
フィルム巻き上げ | 自動巻上 |
ファインダー | 逆ガリレオ方式ブライトフレーム 倍率/0.6倍 視野率85% |
寸法 | 117mm×61mm×21.5mm |
重量 | 178g |
おすすめのフィルム
それでは次に、フィルムカメラに使用するおすすめのフィルムをメーカー種類別に紹介していきたいと思います。
1Fujifilm PRO400H
富士フィルムから、プロフェッショナル向けのフィルム、FUJIFILM PRO400Hです。プロ向けにはなるのですが、初心者の方にもおすすめします。僕も、フィルムカメラを初めて使うときはこのフィルムを使いました。さすがプロフェッショナル向けということもあり、写りはかなり綺麗です。あまりの綺麗さに引き込まれること間違いなしです。色味は青や緑が強くでます。ふんわりとしや柔らかな雰囲気によくあいます。スナップからポートレートまで幅広く使えます!
2Kodak PORTRA400
Kodak(コダック)のPROFESSIONAL PORTRA 400 フィルムです。このフィルムは非常に人の肌が綺麗に写るので、PORTRA(ポートラ)という名前が付いているだけあって、ポートレートに向いています。色味は黄色っぽい緑っぽい、爽やかな印象になります。
3Fujifilm 業務用フィルム
富士フィルムから、業務用フィルムです。これにはISO400のものと、ISO100のものがあります。感度は好みでOKだと思います。このフィルムの特徴はコスパが良いということ。フィルム1本あたりの価格がかなり安いです。枚数を多く撮るという方にはおすすめです。写りはナチュラルな色合いで、とてもフィルムらしい写りをしてくれます。
フィルムカメラ撮った後は?
フィルムカメラで撮影したあとにどうすればいいかをまとめてみました。
現像・プリント
撮り終えたフィルムはカメラ屋さんに持って行って現像・プリントをしてもらいます。場所によって値段も違いますが、大体フィルム1本500〜700円くらいで(プリントなしの場合)仕上げてくれると思います。また現像してくれる店舗によっても写真の仕上がりが違います。いろんな店舗に頼んでみるのもいいかもしれないですね。またある程度、どのように現像するか要望も聞いてくれるので、そこは思い切って要望を伝えてみましょう。
スキャン
現像した写真をSNS投稿などやスマホに画像として保存したい場合は、自分でスキャンするか、スキャンサービスを利用します。フィルムからスキャンする場合は、ネガ専用のスキャナーを使用してスキャンします。Amazonで大体10,000円前後で販売されています。
僕もスキャナーを所有していて使用していました。スキャナーを使うと、自宅でゆっくり写真を選んでスキャンできますが、少々色が出ていない気がします。やはり業者に頼む方が色はしっかりと綺麗に出てくれます。
スキャンサービスは
なんかでしてくれます。値段も場所にもよりますが、1本1,000円前後(現像代込み)でCD書き込み、DVD書き込みしてくれると思うので一度頼んでみるといいでしょう。
ちなみに家でもスキャンを綺麗にしたい場合はハイスペックの高級スキャナーを購入する手もあります。おすすめなのがEPSON GT-X980。GT-X980はフィルムのスキャンに特化したハイスペックなスキャナーです。高価ではありますが業者並みに綺麗にフィルムをスキャンしてくれます。細かい調整なんかも自分でできるので、全部自分でやりたいという人にはいいかもしれません。EPSON GT-X980についても過去記事で書いています。ぜひご覧ください。
まとめ
以上、入門者、初心者の方に向けておすすめのフィルムカメラについてまとめました。フィルムカメラはデジタルとはまた違う楽しみ方ができます。フィルムカメラを使ったことがないという方、これからフィルムカメラで撮影してみたいという方はぜひ一度使ってみることをおすすめします。