韓国のレンズメーカーSAMYANG(サムヤン)の初のAFズームレンズとなるSAMYANG AF24-70mm F2.8 FEの実写レビューをお届けしたいと思います。一般的な標準ズームレンズと比較して、特に動画撮影性能にフォーカスされたオールインワンのコスパに優れたレンズです。静止画も動画も全ての撮影シーンを1本のレンズでこなしたいという方におすすめです。
今回はSAMYANG AF24-70mm F2.8 FEをご提供いただき、実際に使用してみたので 開封から使用した感想までご紹介します。
この記事を書いた人
大阪で活動するフォトグラファー。年間書籍「プロカメラマンFile」2018-2020に選出、掲載。日本最大の写真の祭典「関西御苗場2018」でレビュアー賞獲得。仕事では広告写真や写真教室講師等務める。プライベートではポートレートやスナップの作品を撮影する。
SAMYANGについて
SAMYANG(サムヤン)は、1972年に韓国で創業したレンズメーカーです。2016年ごろ、ケンコー・トキナーが国内代理店となってから認知と販路が大きく広がりました。
様々なメーカーのマウントに対応しており、安価でありながら高品質、豊富なレンズラインナップといった点から、国内でも人気のあるレンズメーカーとなっています。
SAMYANGレンズは基本的にマニュアルフォーカスのものが多かったのですが、ここ数年でAFレンズ、AFズームレンズもいくつか登場しました。AFやズームレンズに対応したことによってさらに多くのカメラユーザーの人気を集めています。
ちなみに今回ご紹介する「SAMYANG AF24-70mm F2.8 FE」はSAMYANG初のAFズームレンズです。
SAMYANG AF24-70mm F2.8 FEの特徴
SAMYANG AF24-70mm F2.8 FEはSAMYANG初の大口径AFズームレンズです。大口径絞りの採用しており、やわらかな背景のボケ感が特徴となっています。最短撮影距離は0.35mとなっており、被写体に寄って撮ることができます。
オートフォーカス性能も非常に優秀で、高速かつ正確に追跡します。動作も静かでスムーズなので、写真だけでなく動画撮影のレンズとしても活躍してくれそうです。
またマニュアルフォーカス時に、ズームをしてもピント位置が維持されるパーフォーカル機能を搭載。さらに防塵・防滴処理もトータル7ヵ所に適用されているので、あらゆる天候下での屋外撮影でも安心して使用できます。
価格はSONY純正の標準ズームレンズと比較しても非常に安価なため、「安価でありながら高品質」というSAMYANGレンズの特徴をしっかり押さえたレンズとなっています。
SAMYANG AF24-70mm F2.8 FE 開封・外観チェック
届いたSAMYANG AF24-70mm F2.8 FEを早速開封していきます。
中身を全て出してみました。
- レンズ本体
- 巾着ポーチ
- マニュアル
- 保証書
といった中身になっています。
レンズ本体を見ていきます。
外装は金属製となっています(アルミニウム合金製らしいです)。レンズ真ん中部分に赤いラインが入っていて、SAMYANGレンズらしい見た目となっています。最近のSAMYANGレンズラインナップではこの赤いラインがないものも多いのですが、個人的にはこの赤いラインが入っている方が好みです。
レンズキャップ側から見た絵です。フィルター径は82mmでSONY純正の「FE 24-70mm F2.8 GM」や「FE 24-70mm F2.8 GMⅡ」と同じ口径になります。
レンズキャップ中央部分にSAMYANGのロゴが入っています。レンズキャップはSONYのレンズキャップと比較すると少し厚みがある感じでした。
レンズの下側には最短撮影距離の0.35m(35cm)という表記と1.15ftというフィート表記でもかかれています。さらにその横にフィルター径の82mmがかかれています。
その下には電子関係のCEマークやFCCマークがあります。
レンズフードの方も装着してみました。レンズフードはごくごく普通のプラスチック製レンズフードで、装着感も悪くないです。
またレンズ本体左側側面にはモード切り替えスイッチが配置されています。こちらはMODE切り替えボタンとなっていてピント操作と絞り値(F値)の操作が可能です。
MODE1:ピント操作
MODE2:絞り値操作
となっていて、シチュエーションに合わせて切り替えて操作できます。モードを選べるようになっているのは非常に便利で、特にMODE2は動画撮影する際に重宝しそうです。
ピントリングの操作感は非常に軽く、なめらかに操作できます。
ズームリングの方はやや重ためではありますが、一定の重さで最後まで重さが変わることはありませんでした。
続いてカメラにレンズを装着してみます。今回はα7RⅣに装着してみました。
こうやって見るとレンズ部分が非常に大きく見えますが、他社の標準ズームレンズと比較しても一般的な大きさかなといった印象です。
純正ズームレンズとの外観・スペック比較
SONY FE 24-70mm F2.8 GMとSAMYANG AF24-70mm F2.8 FEの外観とスペックを比較してみました。
まずは外観からみていきます。レンズフロントキャップを外し、レンズリヤキャップをつけた状態のレンズの長さはどちらもほぼ同じ長さでした。
1、2mmだけSAMYANG AF24-70mm F2.8 FEの方が小さいかなといった感じでした。
続いてレンズフードをつけた状態です。
こちらも大きさに差はほとんどありません。
70mmにした時の長さも比較しました。
こちらもほぼ同じ長さでした。スペック上でみても微妙にSAMYANG AF24-70mm F2.8 FEの方が小さくなっています。
続いて両レンズのスペックを見てみます。
SAMYANG AF24-70mm F2.8 FE | SONY FE 24-70mm F2.8 GM | |
焦点距離 | 24-70mm | 24-70mm |
明るさ | F2.8-F22 | F2.8-F22 |
レンズ構成 | 14群17枚 | 13群18枚 |
画角 | 34.4~85.6°(対角・フルサイズ) 23.4~61.7°(対角・APS-C) |
34~84°(対角・フルサイズ) 23~61°(対角・APS-C) |
大きさ | 128.5mm×Φ88mm | 136mm×Φ87.6mm |
重量 | 1,027g | 886g |
フィルターサイズ | 82mm | 82mm |
最短撮影距離 | 0.35m | 0.38m |
絞り羽根 | 9枚 | 9枚 |
価格 | ケンコー・トキナー価格 122,800円 |
SONY公式価格 253,000円 |
スペックを比較してみるとスペック上では純正のSONY FE 24-70mm F2.8 GMとほぼ同等のスペックだと言えます。
赤文字が違う部分ですが、実際に使用していて感じる違いの部分で言うと、レンズの長さは、若干SAMYANGの方が小さい作りになっています。レンズの最大径はほぼ同じと言えますが、SAMYANGの方が0.4mmほど大きいです。
重さは結構違っていて、SAMYANGの方が1,027gとSONY純正よりも100g以上重くなっています。実際に手に持ってみると違いがはっきりわかります。
最短撮影距離はSAMYANGレンズが0.35cm、SONYレンズが0.38cmと、SAMYANGレンズの方が寄って撮れるレンズとなっています。
大きく違うのは価格で、SAMYANGレンズはSONYレンズの半額以下となっています。SAMYANGの正規代理店のケンコー・トキナーのオンラインショップで購入すると、ショップ会員登録でさらに10%OFFとなります。
これだけの性能でこの価格は安価なレンズだということがよくわかります。
SAMYANG AF24-70mm F2.8 FE 作例写真
それではSAMYANG AF24-70mm F2.8 FEで撮影した作例写真をいくつかご紹介します。
開放で撮影、絞って撮影、逆光で撮影、スタジオライティングで撮影、最短撮影距離で撮影、NDフィルター使用のスローシャッターで撮影など、さまざまなシチュエーションで撮影してみました。
全て撮って出しの写真となります。
開放で撮影
開放で撮影した写真をいくつかご紹介します。作例写真はクリックすると大きい画像で閲覧できます。
まずはこちらの写真。ひしゃくにピントはしっかりあいつつも手前も背景も柔らかくボケています。
続いて広角開放で撮影したこちらのポートレート写真。
こちらの写真の方がしっかりボケ感が出ていることがわかりやすいです。
右上の背景に少し玉ボケができていますが、綺麗な円ボケになっていることがわかります。ピントが合っている部分の解像度も非常に高いと感じます。
続いて最短撮影距離で撮影してみたこちらの写真。寄れるところギリギリまで寄って撮影してみました。
標準ズームレンズにしては結構寄って撮影できる印象です。これだけ寄れれば撮影の幅も広がるかと思います。
また24mm絞り開放の写真中央部分の解像度は非常に高く感じました。絞るとさらに良くなります。
絞って撮影
次に少し絞って撮った写真をいくつかご紹介します。
まずはこちらの写真。広角でF値8.0まで絞ってみました。ここまで絞ると全体的にシャープな写りとなりました。細かい部分もしっかりと描写してくれている印象です。
続いてこちらのダルマの写真。70mmでF値5.6で撮影しました。さすがに70mmとなると全てのダルマにまんべんなくピントが合うことはなく、奥にあるだるまと手前に置かれたダルマは少しボケているのがわかります。
続いて建物を引いて撮影した写真。24mmで撮影しましたが、歪みは多少出ましたが、ほとんど気にならない範囲で、補正でもカバーできそうなので大きな問題はありません。
パッと撮影してこれだけの描写力で撮れると撮影が楽しくなります。
逆光シーンで撮影
次に少し絞って、逆光シーンでも1枚撮影してみました。
しっかりとした逆光シーンでの写真がこの写真くらいしかなかったのですが、こちらの写真でもフレアとゴーストが入っています。フレア、ゴーストのサイズも小さく、形としても綺麗な感じで入っていくれています。直接撮影しても影響は少ないほうなのかなと思います。表現としてあえて入れたりすることもありだと思います。
スローシャッターで撮影した写真
続いてNDフィルターをつけてスローシャッターで撮影した写真。
立体感が少し感じられるような描写になっています。撮って出しですが、グリーンの深い色味も綺麗に出ています。
スタジオで撮影した写真
次にスタジオで撮影したポートレート写真も数枚ご紹介します。こちらも撮って出しの写真になります。
まずはこちらの写真。明部と暗部もしっかり表現できていて、スタジオで撮っていることもあり、服の色味や柄も綺麗に写してくれています。
続いてサイドから全体に柔らかい光を回したこちらの写真。
これだけ引きで撮影していても服の質感がちゃんと伝わってきます。
全体通して高解像度で、描写力も非常に高いレンズだということがよくわかります。
またこのレンズ1本でさまざまなシチュエーションでの撮影をこなしてくれるのも強みだといえます。
SAMYANG AF24-70mm F2.8 FE を使った感想
SAMYANG AF24-70mm F2.8 FEを使った個人的な感想をまとめてみました。
ボケ感
ボケ感は全体的に柔らかく綺麗な印象でした。丸ボケはわずかに玉ねぎボケが見られる感じがありましたが、ほぼ気になりません。標準ズームレンズとしては申し分ない、綺麗なボケ感が得られると思います。
解像度
中央部分の解像度は非常に高いと思います。特に24mm広角での中央部分の解像度は非常に高く、望遠側に行くにつれてやや落ちてくる印象でした。70mm望遠では中央部分はややソフトな印象になります。
AF性能
基本的には高速で、顔AF、瞳AF、追従AFも非常に優秀でした。撮影する上では申し分ない性能となっています。たまに難しいシチュエーションではピントがなかなかあってくれないシーンがありましたが、純正レンズでも同じことが起きていたので、精度は高い方だといえます。ストレスなく撮影できるレベルです。
操作性
操作性は、ピントリングは非常に軽くスムーズで、純正レンズよりも軽さを感じます。ズームリングの方はずっしり重みを感じる部分はありますが、重さは一定でどこかで急に重くなるといったことはありませんでした。リングの操作感は非常に良いと思います。
ただやはりレンズ自体の重さがそれなりにあるため、撮影しっぱなしの状況では重さが辛いかもしれません。
SAMYANG AF24-70mm F2.8 FEはこんな人におすすめ
SAMYANG AF24-70mm F2.8 FEがおすすめな人をまとめてみました。
- 写真だけでなく動画でも使いやすい標準ズームレンズをお探しの方
- コスパの良いレンズが欲しい方
- 1本でさまざまなシチュエーションをカバーできるレンズが欲しい方
- 純正の標準ズームレンズが高すぎて購入を躊躇されている方
コストパフォーマンスは非常に優れていると思いますので、なるべく安価で高性能な標準ズームレンズが欲しいという方にピッタリだと思います。
まとめ
以上、SAMYANG AF24-70mm F2.8 FEのレビューをお届けしました。まだ細かい部分は試せていませんが、軽く使ってみた感じ純正の標準ズームレンズとひけをとらない非常に優秀なズームレンズだと感じました。
この1本でさまざまなシチュエーションをカバーでき、写真でも動画でも活躍できる実用性の高いレンズだと思います。また性能と価格を考えると非常にコストパフォーマンスにも優れていると感じるので、コスパの良い標準ズームレンズをお探しの方にはとてもおすすめです。気になった方はぜひ商品ページの方チェックしてみてください。