
アートの才能に恵まれ、独特な世界観の写真で人々を魅了させている中国の代表的な写真家Maleonn(マレオン)。
アーティストの両親を持つマレオンは絵画やグラフィック、工作などさまざまな芸術表現を活かし、それらの技術を写真の中に詰め込むことで他の誰にも真似できない作品を生み出しています。
今回は、Maleonnが写真家として名を広めるまでの人生と中国で注目を集めたアートプロジェクト、写真作品をご紹介します。
Maleonn(マレオン)について
出典:maleonn.com
まずは、マレオンが写真家として有名になるまでの道のりをご紹介します。
アーティストの両親の元で育ち自然にアートの道へ
1972年、中国・上海出身の写真家マレオン。
両親どちらもアーティストだっためアートワークに取り組むことが自然だったマンレンは12歳のときに上海華山芸術学校に通ったあと、中学から大学にかけて絵画やグラフィックデザインについて勉強をします。
大学卒業後、広告会社に就職しアートディレクターになったマレオンは当時中国ではテレビCMに勢いがあったため大成功を収めます。
ーMy Circus 2004年 (出典:maleonn.com)
そして、広告会社で9年間働いた後アーティストとしての活動を2004年にスタートさせます。
成功するまでの2年間苦労を味わう
アーティストとしてキャリアをスタートさせたマレオンは、最初にWEBギャラリーを開設しインターネット上で作品発信を始めます。
しかし、沢山の人に囲まれ仕事していたディレクター時代とは違い、孤独に作品制作をしなければならなくなったマレオンはキャンバスを前にしても描くことができず、ギャラリーや美術館との繋がりもなかったためアーティストとしてどう活動すればいいか悩み、写真の道へと転向します。
ーThe Trek (da javu) 2005年(出典:maleonn.com)
写真家の仕事はディレクターの時にしていたことと共通している部分が多く、広告業界で名を広めていたマレオンは周りからの信頼もあったため、プロの俳優や女優、メイクアップアーティスト、ファッションデザイナーなど無償で作品制作に協力してくれる人を集め多くの写真を撮影しはじめます。
しかし、ユニークな写真作品をWEBで発信してもギャラリーからの招待や写真家としての仕事がなく、お金がなかったマレオンは広告業界に戻るという選択をするか悩んだ後、アーティストとしての活動を続けることを選びます。
苦労を乗り越え中国の写真業界で有名になる
アーティスト活動をはじめ2年が経ったころ、中国や海外のメディアでインタビューされるようになったマレオンは多くのギャラリーから展示の依頼を受けるようになります。
マレオンは当時のことを国際的なカルチャーオンラインマガジンで「神様が準備てくれていたのだと思います。何かをある時点まで続ければ、突然うまくいく日がくる。」と語っていました。
厳しい経験をした2年の間、マレオンはお金がなかったため有り余る時間で沢山の映画や本を見たり、インターネットで出会ったアーティストに会いに行っていました。
ーLittle Flagman 2008年(出典:maleonn.com)
上海の広告業界で最も有名な監督の1人として知られていたマレオンは自らキャリアを捨て、一からアーティストとしての道を進み、現在は世界中のアート業界の人から注目される有名な写真家の1人となりました。
見知らぬ1600人を撮影したアートプロジェクトで話題に
2012年、中国最大のSNSと言われているWeiboの影響がピークに達したときにマレオンはオンラインで出会った見知らぬ人を撮影する『スタジオモバイル』プロジェクトを開始します。
マレオンはトラックに小道具や衣装を詰め、Weiboで出会った人々の元へ走り回り撮影を行いました。
ーMaleonn’s Studio Mobile 2012年(出典:maleonn.com)
自身のポートフォリオサイトには6ヶ月、またはそれ以上かけ撮影する予定だと話していたマレオン。
プロジェクト終了後のインタビューでは、実際には約11ヶ月かけて35の都市をまわり、1600人以上もの人々を撮影したと語っています。
ーMaleonn’s Studio Mobile 2012年(出典:maleonn.com)
アシスタントとしてプロジェクトに参加したのは6名。
各都市で、使用されなくなった公共バス、居住者の裏庭、美術館の展示ホールなどの場所に一時的なスタジオを建て撮影しています。
出典:maleonn.com
出典:maleonn.com
ただ写真を発信するだけでなく、プロジェクトへの思いや撮影の裏側などについてマレオンは自身のサイトやメディアで熱く語っています。
プロジェクトに参加したメンバーとの関係性も語っており、作品だけでなく裏側のストーリーを知ることでよりマレオンの写真が愛される理由を深く理解することができます。
小道具は自ら制作。Maleonnのアートすぎる写真作品
出典:maleonn.com
写真だけでなく工作や絵画など芸術的才能を発揮するマレオン。写真の中に出てくる個性的な小道具はマレオンの手作りで制作されたものもあります。
Portrait of Mr World
2019~2020年(出典:maleonn.com)
2019~2020年(出典:maleonn.com)
【撮影の裏側】
2019~2020年(出典:maleonn.com)
My Photo Studio
2010年(出典:maleonn.com)
2010年(出典:maleonn.com)
Big Dream
2010年(出典:maleonn.com)
2010年(出典:maleonn.com)
The last Tango in Shanghai
2009年(出典:maleonn.com)
2009年(出典:maleonn.com)
The Trek (da javu)
2005年(出典:maleonn.com)
2005年(出典:maleonn.com)
Maleonnのインスピレーションの源
出典:maleonn.com
1枚の写真の中に多くの情報がありストーリーのワンシーンを切り取った印象を受けるMaleonnの作品。
頭の中で写真のイメージがはっきりとするまでは本や映画で研究をし、ノートにスケッチした中から最適なシーンを選び、衣装やメイクをしてくれる人を見つけた後に撮影を行っています。
Maleonnは「思い描いていたイメージがようやく目に浮かぶ撮影前の瞬間が最も嬉しいとき」とメディアインタビューで語っています。
また、インターネットやブログからも影響を受けているようで、「まるで他の人の生活をのぞき込むような感じで興味深い」とも話しています。
Maleonnの写真作品に魅了されて
出典:maleonn.com
たった1枚で「なにこのアートすぎる写真!?」と釘付けになってしまうMaleonnの写真の数々。
いろいろな役割のアーティストと作品を制作しているものの、どれもMaleonn独自の世界観を感じられワクワクする写真ばかりです。
今回ご紹介した作品の他にも多くの写真がポートフォリオサイトに掲載されているので、皆さんもぜひMaleonnのアートな写真世界を堪能してください。