写真家・オゾ・カメラの 『時代を逆行するフィルムポートレート』CP⁺2023コラボインタビュー

 

CP⁺2023×関西写真部SHAREのコラボステージでゲスト出演していただく、写真家のオゾ・カメラさんにインタビュー。

ステージでは「フィルムカメラとポートレート」をテーマにお話ししていただきますが、今回のインタビュー記事ではフィルムカメラとの出会いや作品制作、今後の活動についてお聞きしました。

 

Profile

オゾ・カメラオゾ・カメラ | デジタル時代に不幸にもフィルム写真に魅せられて、逆風の中フィルムでの撮影にこだわりポートレートを撮り続けている。絵画のような写真を目指し時代を逆行しながら理想を求め迷走中。インスタグラムにそのログを残し続けている。

 

デジカメから“フィルムカメラ”だけの撮影に

オゾ・カメラ

ーまずはじめに、カメラを始めたきっかけを教えてくだい。

オゾ・カメラ

PentaxQ10という小さなデジタル一眼レフです。
小さいのにレンズ交換できるというギミックと安さに惹かれ、手にしてから、昔の8mm filmのレンズをQ10に付けて遊んだのがハマるきっかけでした。

 

ーInstagramにはフィルム写真が投稿されていますが、デジタルで撮影されることもあるのでしょうか?フィルムのみの場合、理由も教えてください。

オゾ・カメラ

オゾ・カメラ

はじめはデジタルだったのですが、今はフィルムでしか写真を撮っていないです。
デジタル一眼を使っていた時、フィルムみたいな写真を目指してオールドレンズを使ってみたり、いろんなフィルターやプリセットを試してデジタル現像して試行錯誤していましたが、理想的な質感になかなかたどり着かなかったんです。あるときオールドレンズに“くっついてたフィルムカメラ”に、一番安いフィルム(ほんの数年前ですが当時は業務用が200円で売ってました)をなんとなく入れて、カフェでコーヒーカップを適当に撮って現像したら、ずっと求めてた質感になってたんです。その後フィルムカメラ買ってデジタル一眼は使わなくなりました。

 

ーカメラをはじめるまで、どのような人生を送ってきましたか?

オゾ・カメラ

アートや写真にまったく関わらない人生でした。カメラはガジェットとして興味を持ったこともありましたが、金がかかるイメージだったので手を出さずに過ごしてました。

 

ーオゾ・カメラさんが影響を受けた写真家がいれば教えてください。

オゾ・カメラ

あまり写真家に詳しくないんですが、ヴィヴィアン・マイヤー、Emily Sotoの撮った写真ですきなやつがあります。

 

ー愛用カメラを教えてください

オゾ・カメラ

Polaroid SX-70、Canon F-1、Nikon F3、Polaroid Land camera 180をメインで使っています。

 

 

フィルムポートレートをマイスタジオで撮る理由

ーフィルムでポートレート撮影されていますが、そこに至るまでにどのような経緯があったのでしょうか。

オゾ・カメラ

出会いの話にもあった通り、元々デジタルでフィルムの質感目指してたんですが、あと一歩が延々に届かずにいた時、適当にとったフィルムを現像しただけで簡単に目指してたところに辿りついてしまい、デジタルを諦めました。
ランニングコストは掛かるし、現像に時間かかるし、フィルムは不便なんですがコレしか満足いく写真が撮れないので仕方なく使っています。

 

ースタジオで撮影されていますが、フィルム撮影でライティングをするのは難しそうなイメージがあります。テクニックはどのように磨いたんですか?

オゾ・カメラ

よく言われるんですが、自分としては逆に外で撮影するほうが難しいと思っています。外は極端に暗かったり、明るかったりしますし、太陽は思いのほか速いスピードで動きますしね(笑)
小さなマイスタジオを作ってからは、同じ場所、慣れた機材で撮るのでだんだん思い通りになってきました。写真仲間と研究したり、我流で試行錯誤して、Youtube見たり本見たりして少しずつできるようになったという感じです。

 

ーヘアメイクや衣装も用意されているとお伺いしましたが、作品撮りをする上でこだわっていることはありますか?

オゾ・カメラ

撮影するときは、できるかぎり協力してくださるメイクさん探します。衣装もほとんどの場合用意したものを使います。ハイブランドのカッコいい衣装など理想的な衣装を用意することは難しいですが、最低限、普段着ないような派手なものや変わったものを使うようにしています。
ヘアメイク、衣装は、”普段やらないもの”にこだわっています。

 

ーこれまでに印象に残っている撮影があれば教えてください。

オゾ・カメラ

オゾ・カメラ

ファインダーから被写体を覗いていると、不思議な感覚にとらわれる時がたまにあります。このときは目に吸い込まれそうな感覚になったのをとても覚えてます。後にダイソンモデルと呼ぶことにしました(笑)

 

オゾ・カメラ

オゾ・カメラ

これもとても印象的でした。シャッター切ったときにコレいいヤツ!とすぐに分かった写真の一つです。

 

オゾ・カメラ

オゾ・カメラ

ピールアパート式のポラロイドフィルムなんですが、もう10年くらい期限が切れたフィルムで撮ったものです。液剤が伸び切らず下部が写ってないですが、この偶然の産物がとても気に入ってます。

 

オゾ・カメラ

オゾ・カメラ

こちらもピールアパート式なんですが、先程の写真とは異なり、作り込んで完全にイメージ通りに撮れた写真です。やっぱり狙った通りの写真になるのが一番満足できます。

 

 

作品制作は『撮りたい人を撮る』が一番のこだわり

オゾ・カメラ

ーオゾ・カメラさんの作品は独創性に溢れて、1枚1枚の写真を新鮮に見れるところが素敵だなと思いました。作品のアイデアはどのように湧いてくるのでしょうか?

オゾ・カメラ

自分では独創性に意識はなく、むしろ結局なにかの真似なんだと思ってます。でも一方で何かを真似しても完全にコピーできる技量も無い。何かを真似しているんだけど、明確にどれのマネしてるか自分では意識してない。そんな感じでアイデアになっているんだと思います。

あとはその場でモデルさんが出してくれるものを選んで切り取るだけで、写真家の作り出すものってあまり余地がなくてセレクトしているだけなので好みが変わってるだけな気がしてます。
好きなモデル、好きな衣装、好きな瞬間を切り取って、好きな写真をセレクトしているだけなので、好きの純度がそのまま”独創性”と見られているのかもしれません。

 

ーどの写真もモデルさんが作品の世界観にハマっていますよね!イメージに合うモデルを探すのか、モデルを決めてからイメージを固めるのか…。どのようなフローで作品撮りをされているんですか?

オゾ・カメラ

一番のこだわりはモデル選びです。すごくシンプルで、魅力的なモデルさんを撮りたいという思いから撮影企画がスタートし、モデルさんも過去作品を見ていただいた上で同意頂いてることもあって、世界観を合わしてくれているんだと思います。
撮影が決まれば、撮影までに小物(だいたい植物か果物)だけ決めて衣装選びや撮影セッティングはその場で決める事が多いです。撮影までにイメージを明確にしすぎると、撮る時なんか違う気がしちゃうので、ぼんやりイメージに留めるようにしています。

「撮りたい人を撮る」という所が一番のごだわりです。

 

ー作品によってカメラを使い分けられていたりしますか?

オゾ・カメラ

気まぐれでコンパクトカメラで本体のストロボで撮ったり、ブローニーで撮ったりしますが、殆どの場合、同じです。ポラと135フィルムがメインです。

 

ーフィルムカメラはデジタルでは表現できない味わい深さがある一方で、その場で仕上がりを見れなかったり、枚数に制限があるところがドキドキしそうですが…。フィルム撮影での失敗もあるのでしょうか?エピソードがあれば教えてください。

オゾ・カメラ

失敗はありますね。普通にフィルム巻き上げてないのに蓋開けたり、撮ってるつもりがフィルムちゃんと巻けてなかったりと・・・。ストロボの同期速度間違ってたり(今の機材じゃありえないけど)
でもかならずポラロイドは使うので現場で1枚いいのが確認できると後は全ロス覚悟です(笑)
あと、フィルムは値段の事忘れて無限に使います。
そして、失敗した写真も「逆にいいやん?」という魔法の言葉で処理します。

 

 

どんな状況でもフィルムで撮り続けたい

オゾ・カメラ

ー近年、フィルム高騰も話題になっていますが、それでもフィルムで撮り続けたいという思いはありますか?

オゾ・カメラ

今後もフィルムで撮り続けますね。フィルムでしか満足できないので仕方なく使い続けると思います。
値段高騰は辛いですが、フィルムやめる選択肢は無いですね。

 

ーInstagramではポートレートを中心に投稿されていますが、10年後、20年後はどのような写真を撮っているとイメージされていますか?

オゾ・カメラ

今より純度の高い似たような写真を撮り続けてると思います。

 

ー写真家として目指しているところを聞かせてください。

オゾ・カメラ

絵画のように飾れる写真を撮れるように目指して撮り続けていきます。

 

ー宣伝をしたいことがあればぜひ!

オゾ・カメラ

ひっそりNFTやってます。▶︎NFT Open Sea「ozo_camera」

 

 

CP⁺2023ステージ出演について

ー今回、CP⁺2023×関西写真部SHAREのワークショップにゲスト出演していただけるとのことで、ありがとうございます!依頼があった時の率直なお気持ちを聞かせていただけますか?

オゾ・カメラ

自分でいいの?と思いました。特段、他で話ししてたり、何かの実績があるわけでもないのに何故?インスタすげーな。が感想です(笑)

 

ー「フィルムカメラとポートレート」をテーマにお話ししていただきますが、「ぜひこんな方に来て欲しい!」というのがあれば教えてください。

オゾ・カメラ

自分と同じようにデジタルでフィルムの質感を目指してて心折れた方や、フィルムやりたいけど高いし、面倒だし、と二の足踏んでいる方や、とりあえずフィルム始めたけどその次のステップに進みたいと思っているような方に来て頂きたいです。

 

ーCP⁺2023来場者の方へメッセージをお願いいたします。

オゾ・カメラ

フィルム時代を知っている方にも、フィルムを知らない世代の方にもほんの少しでもフィルムに興味を持って頂き、消えかかったフィルム文化を盛り上げて頂けると嬉しいです。

 

 

 

CP⁺2023『フィルムカメラとポートレート』詳細

CP+2023

『フィルムで絵画のようなポートレートを撮れるまで』について

絵画のような写真を求めて行き着いた、自分流の撮影手法やモデル選び、ライティングなど撮影のコダワリを惜しみなくお見せします。 これからフィルムでポートレート撮影したい方や、もう一歩先へ進みたい方に向けて。 自らの経験をもとに誰も教えてくれなかったファイル写真ならではのコツなどを、フィルムに興味がある写真家へ共有します!

テーマ フィルムで絵画のようなポートレートを撮れるまで
ゲスト オゾ・カメラ
開催日 2023年2月24日(金)
時間 11:50~12:30
エリア ステージ
CP+2023公式サイト https://www.cpplus.jp/

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