
自らを写真の主人公としたセルフポートレート作品を発信し、世界中のメディアから高い評価を受けているシカゴ出身の写真家・Kyle Thompson。
明確なストーリーラインは示さず、カメラの前だけで起こった儚くシュールな瞬間を捉える、注目の若手写真家として世界中のメディアから高い評価を受けています。
驚くことにKyle Thompsonが撮影した作品はどれも自分自身を被写体にしたセルフポートレート 。19歳にしてその才能で多くの人々を惹きつけた彼の経歴と作品をご紹介します。
写真家・Kyle Thompsonについて

1992年1月11日にシカゴで生まれたKyle Thompson(カイル・トンプソン)は、廃屋に興味を持ったことをきっかけに19歳で写真を撮り始めます。
人生のほとんどをシカゴで過ごしてきたKyle Thompsonは、写真をはじめるまでにも、映画製作に夢中になったり、絵を描いたり、仕事として高校全体でオンラインゲームを作るなどいつもクリエイティブなことをしていたと言っています。
カメラの使い方もわからない状態からはじめ、6ヶ月かけ独学でカメラを学んだ後、アメリカ合衆国の掲示板型ソーシャルニュースサイト「reddit」への作品投稿をきっかけに世界から注目を集めるようになったKyle Thompsonは、ニューヨークでも動画作品を撮影し活動の幅を広げます。
写真家としての名を広げ、現在ではナショナルジオグラフィック、Harper’s Bazaar(スペイン)、Metal Magazineなど、数多くの有名雑誌やテレビ番組で取り上げられています。
Kyle Thompsonが自画像にこだわる理由
海外メディアのインタビューでは、カメラの専門的な勉強をせず進んできたKyle Thompsonは他の人を被写体に撮影することに苦労し、自分自身を被写体に撮影するセルフポートレートに落ち着きを感じたと話しています。
そして、学校に通ったりアシスタントなどの仕事をしていない分、多くの時間を撮影に費やした彼は常に自画像と向き合い沢山の作品を生み出しています。
さらに、ロケーションやセット、モデルである彼自身の表情、ポーズの演出は、完璧に撮影を行うために絵を描くなどセットアップに時間をかけています。
いろいろな方法で難しい自画像の撮影に取り組んできたKyle Thompsonは、最も簡単な方法としてリモートタイマーを使用しているそう。作品を見た瞬間はカメラマンとモデルによる共同作品のような印象を受けますが、Kyle Thompsonが自らセットを組み、カメラマンとしてモデルである自分自身を撮影していると思うとより写真の完成度に感動します。
Kyle Thompsonのポートフォリオ
Kyle Thompsonはリラックスして撮影を行うために森、廃屋、砂漠など静かで落ち着ける場所を選ぶことが多いようです。ドライブや旅をしながら見つけた場所で撮影を行うこともあり、数時間滞在することもあれば、巨大な幽霊の街と呼ばれる場所でベッドを見つけ数日かけて撮ることもあるそう。
そんな彼のポートフォリオサイトで見つけた作品をいくつかご紹介します。
Open Stage (2018)


Spaces Between (2016-2017)


Ghost Town (2015)


Plague (2014)


廃墟になった街で行ったプロジェクト「SINKING SHIP」

6年間に渡りゴーストタウンの調査を行ってきたKyle Thompson。「SINKING SHIP」ではただ撮影をするだけでなく、車や家など廃棄され誰もいなくなった街を探究し、現場で見つけたものでセットを作り、過去の住人を描く被写体として自分をモデルに撮影した作品です。

Kyle Thompsonが作品の中で街の住人になることで、まだそこに誰かが住んでいるのではないか、どうして車を置いていなくなってしまったのか、と想像を膨らませることができます。映画やドラマのようにセリフや動きがない一瞬の切り取りでありながら、見る人の頭の中で次々とストーリーが浮かんでくるのがKyle Thompsonの写真の魅力です。
孤独、帰属、放棄のテーマに、不在の人たちが残したモノで作られた写真集「SINKING SHIP」は、あなたの心をどう動かすのでしょうか。ぜひチェックしてみてください。
- $39.00
- 8.5 x 12 inches
- 120 pages
さいごに

車でロードトリップをしたり、人口の少ない街へ訪れ、場所からインスピレーションを受けて撮影しているKyle Thompsonの作品は、もういない誰かの日常生活が別の物語となって存在しているような不思議な気持ちになります。
日本国内で作品を購入することは難しいですが、ポートフォリオサイトやInstagram【@kylejthompson】で彼の作品を楽しむことができるのでフォローしてみてください。