
30年以上にわたりファッション業界にかかせない人物の一人として多くの広告やキャンペーンの撮影を手掛けている、ドイツ出身のファッション写真家 Juergen Teller(ユルゲン・テラー)。
これまでに数多くの高級ブランドの撮影に携わりながら、自身の故郷や家族などを写した作品で世界各国で展示会や写真集出版を行い名誉ある賞を獲得しています。
SNS社会の現代でもソーシャルメディアが作り上げる価値観に囚われず、独自のスタイルで写真家活動を続けるユルゲン・テラーの経歴と写真作品をご紹介します。
Juergen Teller(ユルゲン・テラー)について
1964年1月28日、西ドイツ・エアランゲン出身のファッション写真家。
ミュンヘンのバイエルン州立写真学校で写真を学び、1986年22歳からロンドンをベースに活動しています。
ロンドンでの活動を開始してからiDやPurpleなどのマガジンの撮影を手掛け、1996年にSüddeutscheZeitung Magazine誌の表紙で広く認知されるようになります。
また、美術家としても知られるユルゲン・テラーの作品は、ニューヨークのブルックリン美術館、ミュンヘンの市立美術館、ビクトリア&アルバート美術館など数多くの有名な美術館で展示されています。2017年には東京都のギャラリーで個展も開催しています。
現在ではイギリスのフォトグラファーやメイクアップアーティスなどクリエイターが集まる団体「CLM」や、ニューヨークやフランスなど各国のギャラリーにアーティストとして所属しています。
ユルゲン・テラーの経歴
ファッション写真家として活躍するユルゲン・テラーですが、ショートフィルムの監督や映画プロジェクトなど映像作品に携わったり、作家として個人の写真作品の展示や写真集出版なども行っています。
Solo Shows(個展)
出典:www.dw.com
ユルゲン・テラーは世界各国で個展を開催しており、1992年に渋谷PARCO、2017年に東京のBlum&Poe Gallery、と日本でも個展を行っています。
全世界で60回以上も個展を行うだけでなく、グループショーやジョイントショーにも積極的に参加しています。
Film Projects(映画プロジェクト)
ユルゲン・テラーは写真だけでなく短編映画やブランドのショートフィルム撮影にも携わっています。
1999年に公開したショートフィルム「Can I Own Myself」はベルリン映画祭やBCショートフィルムフェスティバル、ロッテルダム映画祭など世界各地の映画祭で上映されています。
その他にもいくつかの短編映画を制作していますが、現在はWEB上に公開されていない作品が多く、ユルゲン・テラーの映像作品を見ることはとても貴重です。
Campaigns(キャンペーン)
ユルゲン・テラーはAdidasやAlberto Biani、Rolexなど数多くの有名ブランドのキャンペーンを手掛け、新しいコラボキャンペーンが発表される度に世界中のファッションメディアに取り上げられ、注目されています。
- adidas Originals
出典:honeyee.com
2017年のadidas Originalsのキャンペーンでユルゲン・テラーとコラボした写真。イギリスの有名歌手Dev Hynesを撮影しています。
- Aïshti
海外の高級デパートAïshtiのキャンペーンでユルゲン・テラーが広告撮影を担当。マークジェイコブスやサンローランなど有名ブランドの撮影を多く手がけるユルゲン・テラーの個性的な写真は多くの人を魅了しました。
- PUMA
出典:gbh.london
スポーツブランドPUMAのキャンペーンでロケ撮影を行った時の写真。“Hello”をコンセプトにした若い男女のハジける姿が魅力的です。
ユルゲン・テラーのファッションフォトグラフィー集
ユルゲン・テラーの奇抜で個性的なファッションフォトグラフィー。有名雑誌の表紙撮影もしているので、見たことのある写真があるかもしれません。
MARC JACOBS
MARC JACOBS FALL 2013 CAMPAIGNでユルゲン・テラーがフォトグラファーを担当。10年以上にわたりMARC JACOBSの広告やキャンペーンの撮影に携わってきたことでも有名です。
Vivienne Westwood
ニューヨークにあるVivienne Westwoodのショップで開催された「Juergen Teller x Vivienne Westwood展」の作品の一部。
ロンドンを拠点とするデザイナーのAndreas Kronthalerと共に、10年以上にわたり制作した写真作品を6階建てのショップ全体に展示し話題になりました。
Vogue Japan
Vogue Japan 20周年記念号のためにユルゲン・テラーが東京で撮り下ろしたファッションスナップフォトグラフィー。
ユルゲン・テラー×荒木経惟 伝説の写真家2名によるコラボ撮影
SWITCH Vol.35 No.10 特集「ARAKI TELLER TELLER ARAKI 2017 荒木経惟×ユルゲン・テラー 決闘写真論」の刊行を記念したドキュメンタリー動画では、日本を代表する写真家 荒木経惟とユルゲン・テラーが一緒に撮影を行っている貴重な映像を見ることができます。
2人の撮影スタイルを覗くことができるだけでなく、写真への愛情の深さや荒木経惟が手掛けた写真集の裏側について、それぞれの人柄を知ることができ見応えがあります。
また、互いの写真を撮り合うシーンが印象的で、普段は撮り手でありながら、カメラを向けられると瞬時にユニークなポーズをしたり、クールな表情をする姿に魅了されます。
日本で有名なあの夫婦も撮影していた…!
ユルゲン・テラーは日本の広告や雑誌の撮影にも携わっており、2019年に発売されたVOGUE JAPANの表紙で、国民的俳優である松田翔太&モデル 秋元梢 新婚夫婦の写真も撮影しています。
国内で人気を集めるビックカップルのかっこいい夫婦写真にファンは熱狂。SNSやネットニュースでも話題を集めました。
SNSへの考え方としない理由
the fashion postのインタビュー(2019年12月)でユルゲン・テラーはSNSをしない理由について「単純に時間がないんだ」と答え、また「もし自分があと20年生まれるのが遅かったら、きっと必死でインスタグラムを使ってただろうね。」とSNSが流行する前に自身の名が売れたことをラッキーだったと語っています。
その後、記者からSNSとの向き合い方について質問され、表現者に必要なことを教えてくれました。
それまで無名だった才能にスポットライトが当たるのは素晴らしいこと。私も、自分のギャラリーのことをより広く知ってもらうため、そして新しいアーティストを探すためにSNSを活用しています。一方で、ひとつのメディアに依存しすぎるというのは、アーティストにとって命取りです。質よりも量が重視されるSNSは、創作活動を阻害する要因にもなりかねない。時には、SNSから距離を置いてみるというのもいいかもしれません。表現者にとって最も大切なのは、自分の作品と対峙し、質を高めることです。
ユルゲン・テラーの写真集
ユルゲン・テラーの写真集。有名人を撮り下ろした貴重な作品から、自身の身近なものを撮影した写真など、フユルゲン・テラーの人生が詰まっています。
The Keys to the House
出典:amazon
自宅のあるイギリス東部サフォークで家族や友人、美しい自然を撮影した作品集。
ファッションデザイナーのヴィヴィアン・ウェスウッドやモデルのリリー・コールなど著名人も登場します。
Woo!
出典:amazon
20年に渡り撮影してきたファッションスナップフォトをまとめた作品集。
写真をコラージュしユニークな見せ方をしています。セレブスターのファッションフォトと、家族や自分自身を写したポートレートなど、いろいろなシーンでの写真を組み合わせ見る人を楽しませてくれます。
Siegerflieger
出典:amazon
ドイツのサッカー愛好家でもあるユルゲン・テラー。タイトルである「Siegerflieger(勝者のフライト)」は2014年にワールドカップで優勝を果たしたドイツのサッカー代表メンバーが帰国する際に登場した飛行機に付けられた名前です。
Siegerfliegerでは故郷の家族と過ごす様子や、試合を楽しむ人々の姿を見ることができます。
まとめ
出典:www.dw.com
高級ブランド、ファッションマガジン業界で欠かせない人物の1人であるJuergen Tellerの写真は常に時代の最先端を走っています。
ひとつのスタイルに囚われることなく新しい物を生み出してきたJuergen Tellerの作品に世界中のクリエイターが注目し、現在は日本でもJuergen Tellerが手掛けた広告写真やファッションフォトを目にすることが多くなりました。
仕事ではファッションフォトを中心に撮影する彼ですが、写真家として作品制作している写真集や展示会ではプライベートな写真も公開しており、ユニークなテーマでファンを飽きさせないところも魅力的です。
トップ画像出典:www.dazeddigital.com