日本製三脚メーカーSLIK(スリック)のカーボンマスターシリーズ「カーボンマスター733」のレビューをお届けします。
「カーボンマスター733」は高精度3ウェイ雲台「SH-806NS」を標準搭載しており、3段モデル、パイプ径25mm、カーボン製、「ハライチロック」式の開脚ロック機構を採用した三脚となっています。
非常に高品質な三脚なので物撮りやパノラマ撮影、昆虫・植物、風景など、さまざまなジャンルで快適な撮影を実現してくれます。
今回はメーカー様より「SLIK(スリック)カーボンマスター733」をご提供いただき、実際に使用してみたので 開封から使用した感想までご紹介します。
記事の最後に「カーボンマスター 733」がお得になるクーポンコードを配布していますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人
大阪で活動するフォトグラファー。年間書籍「プロカメラマンFile」2018-2020に選出、掲載。日本最大の写真の祭典「関西御苗場2018」でレビュアー賞獲得。仕事では広告写真や写真教室講師等務める。プライベートではポートレートやスナップの作品を撮影する。
ちなみに筆者は写真のお仕事の現場でスリックのアルミ三脚( プロ 200 DX-LE)を長年愛用していましたが、今回ご紹介する「カーボンマスター733」を使って製品の進化を感じ、とても感動しました。
SLIK(スリック)カーボンマスターシリーズについて
SLIK(スリック)は日本製三脚メーカーです。プロ写真家、報道カメラマンで愛用している人も多いです。
SLIK(スリック)の現状のカーボン三脚は、お手頃価格を目指した製品「ライトカーボンシリーズ」と、性能・機能にこだわって作った「カーボンマスターシリーズ」の大きく2つのラインナップがあります。今回ご紹介する「カーボンマスター733」は「カーボンマスターシリーズ」にあたります。
最近、新しくリニューアルされた「カーボンマスターシリーズ」 4モデルでは、パイプが一回り細い25mmパイプのモデルを一般的なモデル、28mmのモデルを高画素対応のモデルとしています。
「カーボンマスター733」はパイプ径25mmの一般的なモデルになります。
最近のミラーレス一眼カメラなど小型なカメラであれば、パイプ径25mmの三脚でも十分な安定感が得られます。また、より軽量になる分、持ち運びもしやすくなり価格も手頃になります。
「カーボンマスター733」の特徴
はじめに「カーボンマスター733」の特徴を4つほどご紹介します。
1 クロス柄の新しいカーボン素材を採用した三脚
「カーボンマスター733」はクロス柄で強度アップされた新しいカーボン素材の三脚になっています。「カーボンマスター733」の重量は2,190gと非常に軽量で持ち運びもしやすいです。軽量ながらもカメラを載せた時の安定感もしっかりあります。
一般的にカーボン素材の三脚は、アルミ三脚に比べ下記のようなメリットがあります。
- アルミ三脚に比べ、20%〜30%軽量化できる
- 振動減衰性に優れている
- 寒い場所で触れても冷たくない(熱が伝わりにくい)
- 錆の心配が少ない
その分アルミ三脚と比べると価格は高くなってしまいますが、三脚を長く使い続けることを考えれば価格以上の価値があると思います。
2精度が高く軽量な3way雲台「SH-806NS」を標準装備
「カーボンマスター733」は高精度3ウェイ雲台「SH-806NS」を標準装備しています。この雲台は「コマ締め式」を採用したスリックの高精度3way雲台の中でも非常に軽量(単体重量670g)なモデルとなります。
また3軸水準器を装備しており上下・縦横傾きの2軸に加え、縦位置撮影時用の丸型水準器も装備しています。縦構図、横構図と切り替えて撮影する際も素早く水平出しすることができます。
ハンドルの素材も軽量なものを採用し、丸く握りやすい設計になっています。小さな力でもしっかりと固定することができ、非常に扱いやすくなりました。
カメラの取り付けはダブルナット式のカメラネジを採用しており、大型機材もしっかりと固定することができます。三脚プレートをカメラ側に取り付ける必要がなく、雲台のカメラ台に直接取り付けられるのもスリック三脚の特徴の一つです。
ちなみに3way雲台は上下、左右、水平方向とそれぞれ独立する方向軸を個別に動かすことができます。自由雲台では上下だけなどの一方向の動きができないので、細かい角度の調整が難しくなります。厳密に構図を決めたいという方には3Way雲台がおすすめです。
3三脚自体にストラップが付いていてそのままでも持ち運びしやすい
「カーボンマスター733」は付属の収納ケースに入れて持ち運ぶことができますが、三脚自体にもストラップがついているので三脚のままでも肩にかけて持ち運びすることができます。ちなみに三脚ストラップを使用するときは、雲台を下にして担ぐとバランスが良くなります。
機動性の求められる現場であったり、ちょっとした距離の移動などにとても便利です。
また三脚ストラップ上部を取り外してエレベーター下端につけ直し、カメラバックなどを取り付けるウエイトベルトとしても活用することができます。
4ハライチロックシステムで開脚もスムーズ
「カーボンマスター733」は開脚角度をハイ・ミドル・ローの3段階に調整できます。ハライチロックシステムというボタンを押し下げるだけで、開脚ストッパーが解除され開脚角度を自在に調整することができます。
メーカーによっては開脚時にボタンを押しっぱなしにして根本をもったまま開脚操作をしなければならないものもありますが、「カーボンマスター733」は一度ボタンを押し下げた後手を離しても開脚操作が可能になるので、軽い力でスムーズに開脚操作を行えます。
こういった細かい配慮が実際に使用するカメラマンにとっては嬉しいポイントになります。
カーボンマスター733のスペック
スリックの「カーボンマスター733」の製品仕様、スペックをまとめました。材質にはカーボンを採用しているので、軽い上に強度や安定性も高い三脚となっています。エレベーターを上げなくても1.475mの高さがあり、エレベーターを上げれば全高で1.8mと十分な高さになっています。
対応機材 | フルサイズ一眼レフ+70-200F2.8クラス |
雲台取り付けネジ | U1/4 |
全高 | 1,800mm |
エレベーター下げ全高 | 1,475mm |
地上最低高 | 360mm |
パイプ形状・径/段数 | 25mm/3段 |
重量 | 2,190g |
最大搭載質量 | 4kg |
カメラ台のサイズ | 65×50mm |
材質 | カーボン |
実際にカーボンマスター733を試してみた
今回実際に「カーボンマスター733」を試してみたので、開封から使用までのレビューをお届けします。
開封〜セットアップ
「カーボンマスター733」の外箱です。青のグラデーションがとてもかっこ良いです。箱の長さで73cmほどあり、それなりの大きさになります。
中身を全て出します。
- カーボンマスター733
- 三脚収納ケース
- 三脚ストラップ(ウェイト吊り下げ兼用)
- スパイクセット
- スパナ
雲台のハンドルは取り外された状態で入っています。
三脚は畳んでいる状態で70cm程の長さ。1段あたりの長さが長めなので3段でもそれなりの高さを出すことができます。
付属の収納ケースにはサイドポケットもついているので、三脚本体と別にちょっとした小物類も一緒に入れることができます。
三脚を使用する際は2本のハンドルを最初に取り付けます。ネジ穴に差し込んで回していくだけなので簡単です。
パンハンドル(長)を上下を操作するネジ穴へ、水平ティルトハンドル(短)を水平調節を操作するネジ穴へ取り付けます。
パンハンドル(長)と水平ティルトハンドル(短)を取り付けることができたら準備OKです。
雲台の使い方としてはハンドルやストッパーを緩めて角度を操作するだけです。パンハンドル(長)を緩めると前後にティルトでき、パンストッパーを緩めると、水平に回転できます。そして水平ティルトハンドルを緩めると水平調節ができます。
ハイアングルとローアングルの高さをチェック
次に、「カーボンマスター733」のハイアングルとローアングルのそれぞれの高さをチェックしていきます。
「カーボンマスター733」はパイプの伸縮が非常にスムーズで、ナットを半回転緩めるだけで素早く伸ばすことができます。
脚を一番長い位置まで伸ばした状態で147.5cmになります。
その上にカメラが載るので、筆者が175cmの身長なんですが、ほぼアイレベルの高さとなります。
続いて、エレベーターも一番高い位置まで上げます。
エレベーターをあげるにはエレベーターストッパーとエレベーターロックナットをそれぞれ緩めます。
エレベーターストッパーは雲台の付け根あたりにあるので、反時計回りに回して緩めます。
次に、エレベーターロックナットを緩めていきます。
エレベーターの上部にあるのでこちらも反時計回りに回して緩めます。
エレベーターが動くようになるので、最大まで引き伸ばし、今度はエレベーターストッパーとエレベーターロックナットをしめます。
エレベーターも引き延ばし、最大の高さに設定してみました。
全高で地面からカメラを乗せるカメラ台までの高さが180cmとなります。
その上にカメラが来るので、ほとんどの方がカメラを見上げる形になるかと思います。
ここまでの高さがあれば人が並んでいる場所で後ろの高い位置から撮影する場合にも活躍してくれそうです。
続いてローアングルの高さをチェックしていきます。
パイプの長さを一番短い状態にし、開脚する必要があるのですが、そのまま開脚してしまうとエレベーターが先に地面に着いてしまうので、ローアングルにする際はエレベーターとエレベーター抜け止めを取り外します。
まずはエレベーター抜け止めを反時計回りに回転させて取り外します。
エレベーター抜け止めが取れました。
続いてエレベーターの下部も同じように反時計回りに回転させて取り外します。
エレベーター抜け止めは、エレベーター上部の下側に必ず取り付けます。取り付ける際は時計回りに回していきます。
エレベーター抜け止めを取り付けることができたら、あとは脚を開脚していきます。
開脚するにはハライチロックシステムのボタンを押し下げます。開脚角度は全部で3段階あります。
カチッと押し下げたらそのまま脚を開いていきます。一度押し下げれば根本を持ち続ける必要がないので、無駄な力を使わずスムーズに脚を開くことができます。
全ての脚を開きローアングルにしてみました。
このローアングルの高さが地面からカメラを乗せるカメラ台までの高さが約36cmとなります。花や昆虫、ペットなど低い位置にいる被写体にも対応します。
「カーボンマスター733」1本で幅広い高さに対応することができます。
カメラを載せてみた
次に、3ウェイ雲台「SH-806NS」の上にカメラのせてみます。
一般的な三脚である取り外し可能な三脚プレートはなく、雲台のカメラ台に直接カメラを載せます。
従来モデルではカメラネジが前後に動いて取り外し位置に来るとネジが外れる仕様になっていましたが、「SH-806NS」ではカメラネジは動かないようになっています。
このカメラ台にカメラを取り付けていきます。カメラを取り付ける際は、雲台を縦位置の状態にしてあげると手元の取り付けネジが見やすくつけやすくなります。
カメラの取り付けネジはダブルナット式のカメラネジを採用しています。先に銀色のネジを回し、動かなくなったところで黒い大きなネジ、カメラネジ締め付けナットを回していきます。
雲台側にカメラが引っ張り込まれてしっかりと固定されます。
これで取り付け完了しました。取り付けはスムーズで、ミラーレス一眼カメラ程度であれば安定感は十分です。
上下、左右、水平調整の角度をつけてみる
続いて上下左右、水平調整の角度をつけてみます。
3ウェイ雲台「SH-806NS」にはメモリがついており、角度の調整をメモリで確認することができます。
この目盛りを目印にすることで、角度を変更した後に「さっきの構図に戻そう」と思った場合でも正確に角度を戻すことができます。
上下の角度がわかる目盛りと三脚正面位置には水平調節の角度がわかる目盛りがついています。
また左右の角度がわかる目盛りもついており、こちらに関しては数字表記もされているので、正確に何度かが一目でわかります。
こういった角度調整できる目盛りはパノラマ撮影を行う場合などに重宝します。
上の画像のように、しっかり垂直水平を保ちながら正確に30度傾けるといった操作が簡単にできます。
高さ調整をしてみる
続いてエレベーターを使って高さ調整をしていきます。
大まかな高さ設定は脚の長さで設定するのが良いですが、細かい高さ調整を頻繁に行う場合はエレベーターを使って調整するのがおすすめです。三脚によってはエレベーター(センターポール)がないものもありますが、SLIK(スリック)の「カーボンマスターシリーズ」の三脚は全てのモデルがエレベーターありとなっています。
個人的には細かい高さ調節をする機会が多いので、エレベーターありの三脚の方が重宝します。
先ほどハイアングルの全高の高さ調整をした時と同様、まずはエレベーターストッパーとエレベーターロックナットを緩めます。
緩めた後、エレベーターを引っ張り上げ、好きな高さに設定できたらエレベーターストッパーとエレベーターロックナットをしめてロックします。
スムーズに10数センチの高さを出すことができました。
ちょっとした高さ調整であれば脚を伸ばすよりもスムーズに行えます。
「カーボンマスター733」を実際に使ってみた感想
安定性
パイプ径25mmの安定性には正直不安がありましたが、実際使用したところ、ミラーレス一眼であれば広角から望遠レンズまで問題なく安定して載せることができそうでした。筆者はSONY α7R IV とTAMRON 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXDの組み合わせ(総重量2,545kg)で載せてみましたが、安定感は十分でした。
※スペック上はミラーレス一眼カメラ+70-200F2.8クラスのレンズ対応となっています。
操作性
操作性は抜群です。個人的に一番感動したのは脚の伸縮の軽さ、スムーズさです。全ての段を一度に伸縮できるARS(Anti Rotation System)パイプを採用しているので、スピーディーに脚を伸ばすことができます。またナットを緩めるのに力を入れなくてもスムーズに伸縮してくれるため、本当にストレスが少ないです。特に撮影のお仕事の現場などでは何度も構図を変更しなければならいないシチュエーションもあるのでそういった時に脚の伸縮をスムーズに行える三脚があるととても重宝します。
そして雲台の方もハンドルの操作性が高く、構図をスピーディかつ正確に決めることができます。全方向に動いてしまう自由雲台では構図決めでストレスを感じることが多いのですが、「カーボンマスター733」ではそういったストレスも少ないです。
携帯性
折りたたんで70cmはそこそこ大きく感じますが、とにかく軽いので持ち運びは意外と快適です。カメラリュックのサイドベルト、サイドポケットへの収納は難しいかもしれませんが、カメラローリングバッグなどのサイドに収納することは可能だと思います。個人的にはケースに入れて肩掛けで持ち歩くことが多くなりそうですが、1日持ち歩いていても重さでストレスはそこまで感じません。
デザイン
デザインは洗練された良いデザインだと思います。カーボン素材の脚に「SLIK CARBON FIBER」と書かれているだけでテンションが上がります。エレベーターロックナットあたりと、ナットの部分が一部青い色が使われているのですが、使うときにチラチラ見えてカッコ良いなと感じています。
その他
個人的に長年愛用していたプロ 200 DX-LEと比較してよかった点が三脚の軽さと、ハンドルのネジ部分がかなり短くなったことです。
プロ 200 DX-LEはハンドルを取り付ける時のネジがそれなりに長く、取り付けるのが地味に大変でしたが、「カーボンマスター733」のハンドルのネジ部分はかなり短くなっており、また素材も軽いものになっているので、取り付け作業が非常に楽になりました。
ハンドル以外でも全般的に少ない力でスムーズに三脚を操作できるようになっており、進化しているのを感じました。「カーボンマスター733」も愛用していけそうな三脚になると思います。
「カーボンマスター 733」はこんな人におすすめ
写真撮影に欲しい機能がたくさん使っているので、アマチュア〜プロカメラマンまで幅広くお使いいただけるかと思います。高画素モデルの大きいカメラやレンズの組み合わせを載せるのには向きませんが、普段ミラーレス一眼で写真を撮られる方であれば「カーボンマスター 733」で十分かと思います。最初の三脚としてはなかなか勇気のいる価格だと思うので、2本目以降に写真撮影で使いやすいワンランク上の三脚を探している方へぜひおすすめしたいです。
- 高さを頻繁に変えるような写真撮影をする方
- パノラマ写真を撮影をされる方
- ミラーレス一眼で普段写真を撮られる方
- 軽量かつ精度の高い三脚が欲しい方
- 構図を厳密に決めて撮影したい方
- カーボン素材の三脚が欲しい方
- 三脚を使う現場が多いプロカメラマン、副業カメラマン
「カーボンマスター 733」クーポン配布中!
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期間 | 2023年4月10日~7月20日 |
クーポン名称 | 733セール |
クーポンコード | kansai733 |
割引 | 10%OFF |
最後に
以上、「カーボンマスター 733」のレビューをお届けしました。
筆者は今までに30万以上の三脚や動画用・写真用の三脚、アルミ製・カーボン製の三脚とさまざまな三脚を使用してきましたが、今回の「カーボンマスター 733」は写真撮影に欲しい機能がたくさん詰まっていて、非常に操作性の高い三脚だなと感じました。カーボン三脚でこれだけの操作性と機能性がありながらも約6万円という価格は満足度も高いと個人的には感じます。
気になった方はぜひチェックしてみてください。