14歳にしてアート写真家としてのキャリアをスタートさせ、カラー写真の先駆者として20世紀~21世紀の代表的な写真家として知られるStephen Shore(スティーブン・ショア)。
彼が撮影したアメリカの日常的な風景写真は世界中のギャラリーや美術館で45年にわたり広く公開され、カラー写真やドキュメンタリー作品でのビューカメラの使用に新たな関心を呼び起こしました。
今回はStephen Shoreの経歴や写真作品、これまでに発売された代表作品集をご紹介します。
Stephen Shore(スティーブン・ショア)について
1947年10月8日、アメリカ出身の写真家Stephen Shore(スティーブン・ショア)。
アメリカの日常生活の美しさと荒々しさを捉えるためにカラー写真を先駆的に使用し、世界的写真家の1人として知られています。
10代にしてアート写真界のスターに
6歳の誕生日におじからコダックジュニア暗室セットをプレゼントをしてもらうもその時は写真に興味がなかったStephen Shore。
しかし、8歳か9歳の頃に35mmカメラを手に入れ、コダックブラウニーで家族のスナップショットを撮影し始め写真を印刷するようになります。
カメラに興味を持ちはじめるのが早く、写真に夢中になったStephenは14歳の頃に二ューヨーク近代美術館(MoMA)に電話をし、当時の近代美術館のディレクターであり写真家のEdward Steiche(エドワード・スタイケン)に3枚の写真作品を購入してもらうことに成功します。
そして、17歳になるころには画家のAndy Warhol(アンディ・ウォーホール)のファクトリーの常連になり、自身で16mmの映画を制作するなど若手アート写真家として一目おかれるようになりました。
カラー写真を芸術として確立した主要な写真家の1人に
1970年代にマンハッタンからテキサス州アマリロに旅をしたStephen Shoreは、カラーで写真を撮るというアイデアを思いつき安価な自動カメラから大判カメラに切り替えます。
ビューカメラを使用して撮影した何気ない日常風景やストリートスナップなど、Stephenの写真作品は人々を魅了し、次々と写真集の発売や個展を開催するようになります。
1982年以降は写真家としての活動も続けながらニューヨーク州のバード大学の写真部門のディレクターを務め、学生に対しアート写真についてを教えています。
また、2017年から2018年には、10代から撮り続けてきた多くの写真作品をニューヨーク近代美術館に展示し、大きな注目を浴びました。
ポップ・アートの創始者Andy Warholとの関係
17歳の時にアメリカの芸術家Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)のファクトリーにカメラを持って行き写真を撮らせて欲しいと言ったStephen。
大学に行く代わりにAndyのファクトリーに通い、ファクトリーに訪れる人や周辺の様子をカメラで撮っていました。
【Stephen Shoreがはじめて自撮りしたAndy Warholとのツーショット写真】
出典:artspace.com
Andyは毎週のようにファクトリーで映画の撮影を行っていたため、Stephenの作品の中にはファクトリーに集まった俳優のショットや撮影の裏側などが残されています。
写真について教えてくれる人がいなかったため独学で写真について学びながら、Andyの芸術活動を近くで見ることでアーティストとしての才能に磨きもかけていました。
新しい写真形式に挑戦し続ける
1970年代に安価な自動カメラから大判に切り替え、1990年代にはカラーフィルムの使用を開拓し多くの形式の写真を扱ってきました。
そして、2000年代にはデジタル写真やデジタル印刷、ソーシャルメディアを活用した作品発信など、常に時代の最先端をいく写真家としても注目を集めています。
Instagramではフォロワー数18万人以上を誇り、昔の写真形式にとらわれずデジタル化が進歩し続ける現代でも新しい発信のスタイルを確立し続けています。
Stephen Shoreの写真作品
Stephen Shoreのポートフォリオサイトで公開されている写真作品をいくつかご紹介します。
Warhol
Stephen Shoreが10代の頃から撮影した、Andyのファクトリーに訪れた俳優たちの写真やAndyのプライベートショットが作品として残されています。
カラー写真をはじめる前は35mmカメラでモノクロ写真を撮影しており、カラー写真の先駆者と呼ばれる前の貴重な写真作品となっています。
Uncommon Places
ニューカラーの写真家としての地位を決定的なものにした代表作。
70年代のアメリカの風景を写した大判カラー作品で、モーテルやショップ、道路、自動車など街中の何気ない風景に注目し撮影しています。
Ukraine
Stephen Shoreがウクライナを訪れた時に撮影した作品。
ウクライナのホロコーストの生存者を写したもので、生存者の暮らしと希望を強調しています。
Transparencies
Uncommon Places制作時にアメリカ各地で35mmのライカとコダクロームで撮影した写真作品。
風景だけでなく人が写っている写真も多く見応えのある作品となっています。
Stephen Shoreの写真集
Stephen Shoreはこれまでに25冊以上の写真集を発売しています。展示やWEBでは公開されていない貴重な作品も沢山詰まっています。
Survey
出典:amazon
1969年から2013年、40年以上にわたり撮影した作品を集めた一冊。
Stephen Shoreの初期の作品をはじめ、世界各地で撮影したシリーズやインタビューが掲載されています。
WINSLOW ARIZONA
出典:amazon
「American Surfaces」シリーズから40年ぶりに再訪したアリゾナ州・ウィンスローを1日かけて撮影した作品で、IMAギャラリーでの展覧会「THE STREET GOES ON」に際して発行された写真集となっています。
アーティストのDoug Aitkenのプロジェクト参加のために、Stephen Shoreは列車を借りてニューヨークから出発し、3週間かけて南西部を経由してミネアポリスを含む9つの都市を訪れています。
Stephen Shore
出典:amazon
Stephen Shoreがこれまでに撮影した作品が60のテーマ別で構成されたボリュームのある一冊。
10代の頃に撮影した作品から、現在の仕事の写真、Instagramで公開している写真など幅広く掲載しています。
STEPHEN SHORE(H) [ STEPHEN SHORE ]
まとめ
何気ない日常風景なのに見ている人の心にその景色を焼き付けるStephen Shoreの作品。
最新のカメラや新しい写真の形式に挑戦し続け、常にアート写真業界の先をいく写真家として現在も世界中のファンが彼の作品に魅了されています。
海外の美しい街並みや、道を行き交う人々、長年にわたり撮影していることもありStephen Shoreの作品からは時代の流れを感じられるところも印象的です。
写真集や展示だけでなく、Instagramでも風景写真を投稿しているのでぜひチェックしてみてください。