今回はワイヤレス映像伝送システム「Hollyland MARS 400S PRO」のレビューをお届けします。「MARS 400S PRO」はHDMIやSDIの入出力に対応し、最大120mの距離をワイヤレスで映像伝送できるプロの映像クリエイター向けの機器です。
また最新ファームウェアアップデートで屋外での利用も可能になり、使い方の幅も大きく広がりました。非常に優れた製品です!
「Hollyland MARS 400S PRO」とは?
「Hollyland MARS 400S PRO」はHollyland社のプロの映像クリエイター向け無線映像伝送システムです。カメラの映像を無線でモニターやスマホ、タブレットに飛ばすことができます。
映画作成、ライブ放送、CM撮影などさまざまな映像撮影の現場で活躍します。下位モデルの「Hollyland MARS 400S」と比較しても大きくグレードアップして、より使いやすく、非常に便利で映像制作の業務効率化の手助けをしてくれます。
「Hollyland MARS 400S PRO」の特徴
まずはワイヤレス映像伝送システム「Hollyland MARS 400S PRO」の概要、特徴を解説します。
1最新のファームウェアアップデートで屋外でも利用可能に!
HOLLYLANDのMARSシリーズは5GHz(5.2GHz)帯の電波を使用していて、人工衛星に影響を与えてしまうということから今までは屋内での利用に制限されていました。ですが「MARS 400S PRO」の新しいファームウェアアップデートで屋外で利用するための条件をクリアした機能が実装されました。今回のこのアップデートは今のところ「MARS 400S PRO」のみ対象となっています。
2優れたモニタリング機能
「MARS 400S PRO」のデータ転送レートは下位モデル「MARS 400S」と比べると8Mbpsから12Mbpsに引き上げられ、より綺麗な画質で映像を伝送可能になりました。にも関わらず、伝送遅延は0.1sでより遅延のない映像がモニタリングできます。
3入出力はHDMIに加えSDIにも対応
「MARS 400S PRO」はプロ用機材ということもあり、HDMIに加えSDIの入出力にも対応しています。SDI端子はは主に放送用のプロ用機材などで使われるものになります。日頃より業務用のカメラやシネマカメラなどを扱っている映像クリエイターには嬉しいポイントです。
4バッテリー給電、AC/DC給電に加えUSB給電にも対応
「MARS 400S PRO」はバッテリー給電、AC/DC給電に加えUSB給電にも対応しました。USB-Cポートが搭載されているので、モバイルバッテリーからUSB-Cケーブルで給電することもできます。より使い方の幅が広がりました。
バッテリー給電は従来通り、SONYのLシリーズのバッテリーに対応しています。
5「HollyView」アプリでスマホやタブレットにも伝送可能!
Hollylandの専用アプリ「HollyView」を使うことによってタブレットやスマートフォンに映像をワイヤレスで伝送することができます。外部モニターがない場合でもWi-Fi設定するだけで手持ちのスマートフォンに簡単に映像を飛ばせます。
「Hollyland MARS 400S PRO」セットアップ
それでは実際に「Hollyland MARS 400S PRO」を使って、カメラの映像をワイヤレスでモニターに飛ばしてみたいと思います。
「Hollyland MARS 400S PRO」を開封します。ユーザーガイドは日本語にも対応しています。
箱を開けるとトランスミッター(赤)とレシーバー(青)が入っています。色で分かれているので、一目でどっちがトランスミッターでどっちがレシーバーかがわかります。
さらに箱の中にはアンテナ5本(1本は予備)と電源アダプタが入っています。
まずはアンテナをトランスミッター、レシーバーそれぞれにつけていきます。ネジ式で簡単につけることができました。
次に背面にバッテリーをつけます。上記でも説明したように、バッテリー以外にもAC/DC給電、USB給電も可能です。今回はSONY Lシリーズの互換性バッテリーを使用しました。
続いて、トランスミッターとカメラ側をHDMIケーブルもしくはSDIケーブルで接続します。今回はHDMIケーブルで接続しました。
そしてレシーバーとモニターも同じようにHDMIケーブルで接続します。
カメラとモニターの電源を入れ、「Hollyland MARS 400S PRO」のトランスミッター、レシーバーの電源をつけていきます。オルタネイト方式の電源になっているので、グッと押し込む必要があります。(この電源のつけ方が分からずに5〜10分悪戦苦闘してしまいました。)
約20〜30秒ほど待つと何も設定しなくても自動でチャンネルリンクされます。
自動でチャンネルリンクされない場合、トランスミッター側の「■」ボタンを長押しで、メニューを開き、
システム設定 >> 接合
を選択することでペアリング設定をしてくれます。
これでカメラで撮影している映像を、ワイヤレスでモニターに伝送することができました。
とても簡単にセットアップできました。
映像の遅延はそんなに気になりません。約0.5秒程度の遅延です。
そして何より画質の良さに感動しました。データ転送レートも12Mbpsという速度なので、かなり安定していて映像が乱れることもありません。
「HollyView」アプリを使ってみた
モニターにワイヤレスで映像伝送は問題なくできたので、続いて「HollyView」アプリを使ってスマホやタブレットに映像を伝送していきます。
「HollyView」アプリのダウンロードは下記ボタンから。
接続方法は非常に簡単で、トランスミッターの電源を入れ、スマホ、タブレットのWi-Fi設定から「Hollyland MARS 400S PRO」のWi-Fiを選択し初期パスワードを入れて接続します。
接続できたら「HollyView」アプリを立ち上げ接続ボタンをタップします。
たったこれだけで簡単に接続できました。
こちらも非常に安定した映像で、画質も綺麗です。
またアプリには「波形図」、「輝度表」、「焦点調節」、「ゼブラ柄」、「枠マーカー」、「局部拡大」、「類似色」、「モノクロ」、「3D LUT」といった機能も備わっています。
さらに横にあるビデオカメラのアイコンをタップすると、スマホやタブレット上の画面の録画をすることができます。
その上にあるカメラのアイコンをタップすることで画面キャプチャの撮れます。非常に高機能なアプリです。
「Hollyland MARS 400S PRO」を実際に使ってみた感想
実際に「Hollyland MARS 400S PRO」を使ってみて感じたことをまとめていきます。
1映像の安定度がかなり高い
ワイヤレスの映像伝送システムは「MARS 400S PRO」以外にも使ったことがあるのですが、「MARS 400S PRO」は映像の安定度がかなり高いなと感じました。
ワイヤレスで飛ばすことができても、映像が乱れていたり、映像の遅延が酷かったりするとそれはそれでストレスになり、映像制作の現場に支障をきたします。少々値ははりますが、安定した映像をしっかり伝送してくれる方が、買ってからの後悔もありません。
2屋外で利用できるのはかなり嬉しい
やはり屋外で利用できるようになったのは嬉しいポイントです。ワイヤレス映像伝送はもちろん屋内での撮影でも大変便利ですが、屋外で活躍するシーンも多いです。
使い方の幅が大きく広がったことを考えるとそれだけで買いだと思います。また、120m(400フィート)の伝送距離も余裕のあるスペックで、どんな現場でも安心です。
3扱いが簡単でスピーディーにセッティングできる
「MARS 400S PRO」はユーザーガイドを見なくても少し慣れている方であればすぐに扱うことができます。
また、HDMIケーブルもしくはSDIケーブルをさして電源をつけるだけで自動でリンクして伝送してくれるのでセッティングもスピーディーに行えます。操作性は抜群に良かったです。
4「HollyView」アプリが想像以上に使いやすい
「HollyView」アプリが非常に使いやすくて驚きました。こういう類いのアプリは安定性に欠けるアプリが非常に多いですが、「HollyView」アプリはバグも特になく、簡単に接続できる上に安定性も高いです。
また、「波形図」、「輝度表」、「焦点調節」、「ゼブラ柄」、「枠マーカー」、「局部拡大」、「類似色」、「モノクロ」、「3D LUT」といった機能に加え画面キャプチャ機能も搭載されていて非常に高機能です。
UIも良いので、使い方もあまり迷いません。
「Hollyland MARS 400S PRO」はこんな人におすすめ!
「Hollyland MARS 400S PRO」は日頃より映像制作をこなすプロの映像クリエイターにおすすめの製品です。CM撮影や映画制作、ライブ配信やミュージックビデオ撮影など様々な映像制作現場での業務効率を上げてくれること間違いありません!
ワイヤレス化で撮影時のストレスも大幅に軽減します。
最後に
以上、「Hollyland MARS 400S PRO」の開封レビューでした。筆者は普段写真がメインですが、最近動画の案件が増えてきて過去にワイヤレス映像伝送システムを使ったこともありましたが、「Hollyland MARS 400S PRO」ほど高画質で安定した映像伝送は初めてでとても感動しました。
またこういったワイヤレス系の機材は今まで屋内での利用に制限されていたので、屋外でも利用できるようになったのは非常に嬉しいポイントです。(屋外で使えるものは今までもありましたが、非常に高額なものしかありませんでした。)
映像クリエイターの方にはとってもおすすめのワイヤレス映像伝送システムです。気になった方はぜひチェックしてみてください。
また今回、開封レビューの動画も撮影したので興味のある方はぜひこちらもご覧ください。